『口語聊斎志異』[第三話・画壁]


第 03 话 <画壁>

  ※江西省有个人叫孟龙潭,他有一个朋友姓朱,是个※举人。俩人一起倒京城里游玩。有一天,他们在京郊游览,不知不觉走进一座小寺院里。一位老和尚迎出来并带他们四处参观。寺院里有个大殿,殿里边有礴※志公的塑像东西两壁是精美绝伦的壁画:亭台花木交相辉映,人物鸟兽栩栩如生。你看东壁上※散花天女图中,那个手持花束,面带微笑的少女,画得多么逼真!那张樱桃小口仿佛有话要说,那双多情的眼睛好像眼波流转。

江西省…中国南西部のチワン(壮)族の自治区。南はベトナムと接し、区都は南寧でインドシナ半島への交通・軍事の要衝。
举人…中国で、明・清の時代に科挙の郷試に合格し、進士の受験資格を得た者。
志公…南朝宋・梁代の高僧、宝誌和尚。誌公。
散花天女…花をまいて仏に供養する天女。

第 三 話 (壁 画 の 天 女)

江西省に孟龍潭という人がいた。その友人に朱という苗字の挙人がいた。ある日、二人は一緒に都に遊びに出掛けて、街はずれを見物していたところ、知らず知らず小さなお寺の中に入り込んでしまった。老僧が迎えに出て来て二人を四か所ほど案内して回った。寺の本堂の中には誌公の塑像が安置されており、東西両方の壁にはこの上なく美しい壁画があった。亭台の花と木は相和して照り映えるように、人物や鳥獣はまるで生きているように描かれていた。東側の壁には散華天女の図が描かれていたが、それは手に花束を持ってほほえむ少女の姿で、その絵はまさに迫真のできばえであった。その桜んぼのような小さな口は今にも語りかけてきそうで、情愛に満ちた二つの目もとからは今にも秋波が送られてくるようであった。

朱举人看的入了神,忽然觉得自己的身子变得很轻很轻,就像驾了云雾一样,转眼来到墙壁上。但见仙山处处,楼阁重重,和人间大不相同。一个老和尚正坐在高处讲经说法,周围站着许多听讲的人。朱举人刚挤进去听了一会儿,觉得有人轻轻扯他的衣襟。回头一看,那个持花少女朝他嫣然一笑,便转身走了。

仙山…夢幻境と解したが、『長恨歌』の「忽聞海上有仙山、山在虚無縹渺間、楼閣玲瓏五雲起」によるものか。

朱挙人は見ているうちに夢中になって、たちまち自分の体が雲に乗ったように軽々としてきたかと思うと、あっという間に壁の中に入り込んでいた。夢幻境の楼閣が幾重にも重なり、人間世界とは大きく異なる世界が見えるばかりであった。ちょうど一人の老僧が高座にすわって説教をしているところで、回りには多くの人々が立って聴聞していた。朱挙人もそこに割り込んで聞いていたところ、少しして誰かが袖のあたりを軽く引っ張った感じがした。振り返ってみると、先程の花を持った少女がにっこりとほほえんでいたかと思うと、すぐに身を翻して去ってしまった。

  朱举人远远跟在少女背后,见少女转过曲廊,要进一所小屋,只得停下脚步。少女扭回头来,见朱举人在那里徘徊,就举起手里的花招呼他进来,朱举人这才放心大胆地跟了进去。朱举人见屋内无人,就立刻上前拥抱少女,少女半推半就同他做起夫妻来。一时事华,少女把朱举人锁在屋子里,嘱咐他不要咳嗽,不要弄出声响,并说她晚上就回来了。

朱挙人は、少女から離れて背後について行ったが、少女が回廊を回って小さな部屋に入るのが見えたので、そこで立ち止まらざるを得なかった。少女は、振り返るとうろうろしている朱挙人の姿が見えたので、手中の花で差し招いたところ、朱挙人はそれで安心して大胆にも部屋の中に入りこんだ。部屋の中には誰の姿も見えないので、彼はすぐに前に進んで少女を抱きしめた。少女が形ばかりの抵抗を見せたが、二人は男女の契りを結んだのだった。事が終わると、少女は朱挙人を部屋に置いて鍵を掛けると、咳払いをしたり物音を立てたりしないようにと念を押した。そして、夜になるとまたやって来たのだった。

  这样过了两天,少女的秘密终于给姐妹们发觉了,她们把朱举人从屋子里搜了出来,开着玩笑对少女说:“瞧瞧,肚子里的小孩都那么大了,还散着头发充大姑娘呀!”大家说笑着,有的拿来金簪,有的拿来耳环,替少女梳头打扮,给他们举行婚礼。少女羞羞答答,含笑不语,任凭女伴们摆弄,嘻笑。过了一会儿,一个女伴站起身来,说:“时候不早了,咱们走吧,再待下去人家会不高兴的。

このようにして二日が経つと、少女の秘密はとうとう同輩たちにかぎつけられてしまった。彼女たちは部屋の中を捜して朱挙人を見つけ出し、少女に向かって笑いながら、「見れば、お腹の子はそんなに大きくなっているのに、まだ乙女気取りでお下げ頭なんかでいるの!」とみんなは、口をそろえて言い、金の簪や耳飾りを持ってきては髪を結い上げ、婚礼を挙げさせてしまった。少女は恥ずかしそうにほほえみながらも、同輩の言うとおりにしてウフフと笑った。しばらくすると、同輩たちが立ち上がって、「ぐずぐずしていられないわ、私たち出て行かなきゃ、ここにはいられないわよ。嫁入り先に失礼だものね」と言った。

  女伴们又说笑一阵,一一道别而去。这时再看少女,高高的发髻,低垂的刘海儿,比先前更加艳丽动人,朱举人看看四下无人,便将少女搂在床上,一股兰花和麝香的气味直沁心脾。朱举人和少女正高兴得难解难分,忽然传来“嗵嗵”的脚步声和锁链的哔哔声,接着传来纷纭杂乱的叱斥声。争辨声。少女和朱举人急忙翻身下床,从门缝里偷看,只见一个面色漆黑的金甲使者,带着铁索,举着大锤站在众女伴中间,说:“都到了吗?”“都到了”众女伴齐声回答。

同輩たちはまたひとしきり笑って、別々に出て行った。朱挙人が改めて少女を見ると、高々と結い上げた髷に低く垂らした短い前髪姿が以前に比べて驚くほどあでやかで美しくなっていた。朱挙人はあたりに人がいないのを見て、すぐにベッドの上で少女を抱こうとすると、一筋の蘭の花と麝香の香りがして心がときめくのであった。二人が愛の営みに夢中になっているまさにその時、突然、「コツコツ」という足音と鎖の鳴る音がして、それに続いて大声でどなる声が聞こえてきた。言い争うような声を聞いて、二人はベッドからあわてて飛び起きて、戸の隙間からのぞき見たところ、鉄の鎧を身につけた漆黒の顔の役人が鉄の鎖と大づちを手に持って、多くの女たちに取り囲まれて立っていた。そして、「全員そろっているか」と言った。女たちは一斉に、「みんなそろっています」と答えた。

  金甲使者又说:“如果你们有人私藏下界人,要立即坦白!要是不说,可不要后悔!”众女伴齐声回答:“没有。”少女听到这里刚松了口气,那金甲使者又突然返过身来,用凶恶的目光盯着小屋,露出要搜查的意思。少女大惊失色,急忙把朱举人藏在床下,打开后窗逃走了。

鉄の鎧の役人が、「もしお前たちが下界の人間を隠しているなら、すぐさま正直に申し出ろ。後で悔やんでも遅いぞ」と言ったので、女たちは、「おりません」と声をそろえて答えた。少女はこうしたやりとりを聞いていたが、その鉄の鎧の役人は、急に身を翻してやって来て、凶悪な目つきで部屋の中を見回し、何かを捜し出そうという様子を見せた。少女はびっくり仰天して色を失い、あわてて朱挙人をベッドの下に隠して、後ろの窓から逃げ去ったのだった。

  朱举人悄悄藏在床下,连大气也不敢出。一会儿,听见金甲使者在屋内转了一圈出去了;一会儿,又听见靴子声,嘈杂声渐渐远去,心才不像刚才跳得那样厉害了。但是窗外依然有来来往往的人议论这件事。朱举人蜷曲在床下,时间一长,直觉得眼里冒火光,耳朵嗡嗡响,那份难受劲简直无法形容,又不敢贸然出去,只好静静地听着外面的响动,等待少女归来,几乎全忘记了自己是从哪里来的。

朱挙人は、物音を立てずにベッドの下に隠れて、息を潜めていたが、しばらくすると、鉄の鎧の役人が部屋の中から出ていくのが見えたが、まだ靴音は響いていた。そのうち徐々にやかましい雑音が遠ざかっていったので、先程までの恐ろしい気持ちはようやく薄らいできた。しかし、扉の外では依然として行ったり来たりしながら何やら話し合う声が聞こえる。朱挙人は、ベッドの下に長いこと縮こまっていたので、目から火が出たり、ガンガン耳鳴りがする感じがして、苦しさが全くたとえようもないほどだった。だが、うっかりと出るわけにもいかず、静かに外の物音に耳を澄まして少女が戻ってくるのを待った。彼には自分がどこからやって来たのかさえもほとんど全部忘れてしまっていたのである。

  再说孟龙潭,正在殿中看画,一转眼竟不见了朱举人,心里很是奇怪。问老和尚,老和尚笑着说:“朱举人听讲经说法的去了。孟龙潭又问,“在什么地方?”“不远。”老和尚又笑笑,用手指敲着墙壁喊道:“朱举人还没有游玩够吗?该回来了。”老和尚话音刚落,就见画壁上出现了朱举人的画像,看他侧耳倾听的样子,似乎听见了什么。这时,老和尚又喊道:“快回来吧,孟先生已经等得耐烦了。”于是,朱举人便从墙上飘然而下,傻呆呆地站在那里,但觉腿足酸软。

その時、孟龍潭は本堂で絵を見ていたのだが、またたく間に朱挙人の姿が見えなくなってしまったので、不審に思って老僧に尋ねると、「朱挙人さんは説教を聞きに行かれたのです」と老僧は笑って答えた。孟龍潭がふたたび、「どちらへ行ったんですか」と尋ねると、老僧は再び笑いながら、「そう遠くじゃありません」と答えてから、指先で壁を叩いて、「朱挙人さん、お戯れは十分じゃありませんか。そろそろお戻り下さい」と言った。老僧の話が終わったとたん、壁画に朱挙人の姿が現れ、何かを聞き取ろうとするかのように、耳をそばだてている様子である。その時また、老僧が大声で、「早く出て来て下さい。孟さんが先程からお待ちかねですよ」そこで、朱挙人はすぐに風に揺られるように壁から下りてきて、呆然とそこに立っていたが、足には力が入らないような様子だった。

  孟龙潭见朱举人从墙上下来,不觉吃了一惊,就问朱举人是怎么回事。朱举人告诉他,刚才正在床下藏着,猛听到打雷似的敲击声,所以赶忙从屋里出来看看。这时再看壁上持花女郎,宛然一个新嫁娘,再不是刚才那副少女的打扮了。

孟龍潭は壁の中から出て来た朱挙人を見ると、思わずびっくりして、すぐにどうやって戻ってきたのかを尋ねた。朱挙人の答えはつまりこうだった。先程ベッドの下に隠れていたら、雷のように激しく叩く音が聞こえたので、急いで部屋の中から出て来てあたりを見回していたのだ、と言うのである。そこで、二人が再び壁画の中の花を持った少女を見ると、先程までの少女の面影はなくなって、あでやかな花嫁姿に変わっていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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