『ウィロビー・チェースのおおかみ』

 ウィロビー卿の娘ボニーと従姉そシルビアが、勇敢な少年サイモンに助けられながら悪人退治をするという冒険小説である。 物語は、1930年代のイギリスの田舎とロンドンとを舞台に展開していく。 両親の旅行のあいだ家庭教師として、ボニーたちの世話をすることになったスライカープは、たいへんな悪人だった。 スライカープは、シルビアが汽車の中で出会った男と悪だくみをして、 ウィロビー卿の財産をねらっていたのである。 それに気づいたボニーとシルビアは、 助けを求めようとしたが、 スライカープに捕えられ、孤児院に入れられてしまう。 だが二人は、サイモンに助けられて脱走し、三人そろってロンドンへ行く。三人は、警官を連れて、ボニーの家ウィロビー・チェースにひそかに戻る。 <秘密の通路>を使って、 スライカープらを逮捕したところに、難破船から救われた両親が戻ってくる。
  スリリングなできごとが適度に配置され、 伏線が効果的にはられている。 子どもたちの助け合いの姿が美しい。自然描写もすばらしく、 登場人物のその時々の心象とマッチしている。いかにもイギリスの作品らしく、ウィットにも富んでいる。

〔初版・1975年〕(恩田 満)

〔『子どもの本と読書の事典』(岩崎書店)より転載〕

                  『ウィロビー・チェースのおおかみ』
                        ジョーン・エイケン 作
                             大橋善恵 訳
                                冨山房
                      220×160ミリ 303ページ
                  The Wolves of Willoughby Chase
                             JOAN AIKEN
                             [中学生向き]

 


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